ラズパイその他工作

ラズパイを使ったセンサ入力の実験

ラズパイの簡単工作を通して、電子工作の原理や基本を学ぶこの連載。教えてくれるのは、メディアアートの分野で、また「ちょっと深い仕組み」を解説する書籍の世界で活躍している、伊藤尚未さんです。前回のラズパイではモータを制御するため、少し大きな電流の扱い方について学んでいきましたが、今回はセンサ入力の実験までを見ていきたいと思います。
前回の記事:Lチカ+モータonラズパイ。より大きな電流の扱い方を知る

[目次]

1. はじめに

2. モータの回る仕組み

3. センサについて

4. フォトトランジスタをGPIOにつなげる

5. フォトリフレクタをGPIOにつなげる

6. まとめ

1. はじめに

三度目まして、伊藤尚未です。世の中、あまりにも早く変わりすぎ、追いついていけない古いタイプの人間だということを痛感しつつあります。新しいことに興味がないわけではないけど、追いついていくことだけで息切れするので、まず自分の思考のベクトルとやるべきことを整理しつつ、自分が「面白い」と思えることを中心にして、いろいろなことに携わっていこうと思っている今日この頃です。

2. モータの回る仕組み

前回はDCモータを使いました。模型自動車やプラモデル、ラジコンなどで幾度となくお世話になりましたが、考えてみればDCモータは電気エネルギーを運動エネルギーに変えるエネルギー変換の代表みたいなものですね。中の仕組みをシンプルに図式化するとこのような形になります。

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もちろん電気の流れによってつくられる磁界が永久磁石(フェライト磁石)の磁界に影響し、物理的に力=運動エネルギーをつくる、ということが基本になります。その仕組みを問いただせば、もちろんフレミング左手の法則です。ご存知ですよね?

フレミングの法則について

まず、フレミングの法則には右手と左手があるということはご存知かと思います。それぞれ親指、人差し指、中指を三次元のXYZ軸方向に直角に立てたカタチで、親指が力の向き、人差し指が磁界の方向、中指が電気の流れる方向になります。

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目の前で左右の手をそのカタチにしてみると鏡面反射ということがわかります。この手を肘を曲げて一度胸の前に引き、次に左右45度方向で肘を伸ばしながら突き出して、大きな声で「イェーーーーイ!」・・・っと。さて問題はこの左右の手の形、どちらかがモータでどちらかが発電機の原理だということは中学校で習ったかと思いますが、どっちがどっちか覚えてますか?

電気を流すことで運動をつくるモータと、運動によって電気をつくり出す発電機ですが、右利きの人なら覚えやすい覚え方、右手はよく動く、ハツラツと動く、「ハツラツ働く発電機」、これに対して左手は「モタモタもたつくモータ」という覚え方がスタンダードでしょうか?さてさて、本題にもどりましょう。今回はセンサをラズパイで使ってみます。

3. センサについて

「センサ」と一言でいうと、状態を電気的に検知する装置、部品ということでしょうか。ではその状態とはどんなものがあるかというと、光だったり、音だったり、温度、湿度、傾きや加速度なんていうものもありますし、普段の生活で身近でありながらお世話になりたくない火災報知機は温度や煙のセンサになり、これに警報音がなる仕組みで成り立っています。デジカメもいわば光のセンサでもありますが、いまや画像そのものをAIで解析し、固体認識までできるセンサを越えた認識能力を持っています。

道で声をかけられて、「あの人だれだっけ?」なんてことがあると、自分のアタマとAIを繋げたくなりますが…。

さて、電子工作で使えるような装置、部品の仕組みにもいろいろあり、マイコンに拡張パーツのように接続でき、そのままデータを得ることもできるものもありますが、ここでは基本に戻り、フォトトランジスタという光センサを使いました。以前は光センサと
いえばCdSセルというもので、光を受けると抵抗値が下がるという仕組みをもつ素子でしたが、名前そのもの硫化カドミウムを使っているので、物質的によろしくないということで、姿を消しつつあります。

右の二つはCdSセル、左はフォトトランジスタNJL7502L

左はフォトトランジスタNJL7502L、右の二つはCdSセル

では、このフォトトランジスタはどんなものかというと、半導体で構成されており、基本的なバイポーラトランジスタと同じような構造をしています。ひとつ違うのは入力が光だということです。

図記号

図記号

図記号でみますと、NPN型トランジスタに似ていますが、B(ベース)端子がありません。その代わりに矢印があります。この矢印は光を表しているので、B(ベース)への入力は電気の流れではなく光の入射ということになります。つまり、光の強弱をC(コレクタ)~E(エミッタ)間に出力として出します。光によって増幅、スイッチングという機能になりますね。

フォトトランジスタをGPIOにつなげる

このフォトトランジスタをラズパイでGPIOにつなげてみます。言語はScratchを使おうと思いますが、センサの値のとり方をスイッチと同じ1と0として考えます。

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あまりにもシンプルすぎる回路なので、これで作動するのか不安にもなりますが、やってみましょう。

フォトトランジスタに光が入らない場合は入力をpullupしているのでスイッチングON、つまり1の状態になり、光が入ればフォトトランジスタにより入力がマイナス側になるのでスイッチングOFFとなり、値は0になります。

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GPIOを宣言、入力GPIOをPullupに設定し、得られた数値をネコに言わせるようにします。光が当たってる状態のまま、センサ部分を手で覆って光を遮ったりすることで、「1」になったり「0」になったりするのがわかります。ここでは光センサを使いましたが、例えば温度センサのサーミスタなどを使うと気温が上がって熱くなったらモータをまわして風を送る、というような装置もできますし、湿度センサと組み合わせ、熱中症警報機などというのもつくれますね。GPIO入力って、なんて便利なんでしょう!

光による物体検知センサ

フォトトランジスタだけでは実際には周囲環境の光も影響してしまうことも多々あります。もちろん暗い中では役に立てません。そこで光を出すためにLEDを組み合わせ、光源とペアで使うと効率がよいでしょう。このペアになった部材も数種類あり、構造や検知方法などが異なります。

フォトインタラプタは、LEDの光を直接フォトトランジスタに入力するカタチで直線的に設置し、その間を何かの物体が通り、光が遮られることで物体を検知する役割のものです。工場のラインやプリンタなどの機器の中にあるので、あまりお目にかかることは少ないでしょう。

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フォトリフレクタは、LEDとフォトトランジスタを同じ方向で取り付け、その前を物体が通ることで光の反射を検知する役割です。さりげなく使われているのは、公衆トイレなどの自動洗浄のセンサですね。

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フォトカプラは、LEDとフォトトランジスタのペアですが、間の物体を検知するものではなく、光で信号を伝える役割です。なのでセンサではありませんが、光源と受光部品を使っているということでは同じ仲間といえるでしょう。電気的な接続をせずに信号を伝えることで、回路の安全を図ったり、電気特性が異なる回路の信号伝達に使われます。

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フォトリフレクタをGPIOにつなげる

今回は、ロームのRPR-220というフォトリフレクタを使おうと思いますが、このフォトリフレクタはLEDとトランジスターの組み合わせなので、それぞれの特性を考えます。

RPR-220

RPR-220

まずLED部分は1.34V50mA、フォトトランジスタ部分のコレクタ電流は300mAなので、LEDの電源には3.3Vのラズパイの電源端子を使い、51Ωの電流制限抵抗器を接続し、LED部分に接続します。このLEDは光が赤外線なので、目で見ることはできませんが、デジカメなどでみるとシッカリと光っていることがわかります。

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フォトトランジスタ部分は先ほどの回路と同じようなカタチにします。これでセンサとしての機能ができます。これを画面上のネコに言わせるだけでは面白くないので、ラズパイからの出力としてとりあえず単独でLEDを光らせるようにしました。もちろん、前回使ったようにモータでもかまいません。

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ブレッドボードで組むとこのような感じになります。

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Scratchではこのような組み具合になります。

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これでセンサの手前になにかモノが置かれたらLEDが光るという仕組みができました。

おおっ、コイツ動くゾ!

おおっ、コイツ動くゾ!

     

フォトリフレクタはパッケージの中に発光部と受光部が分かれて設置されている構造です。光を反射するので、もちろんパッケージ本体にベタッとモノが接触してしまっては反射光をうまく受光部で受け取れません。RPR-220はパッケージから6mmのところが適正なようです。なので、例えばガラスやアクリルを通して何かモノが置かれることを想定した工作がよいかもしれません。

4. まとめ

今回はセンサ入力までの実験ですが、とにかくシンプルな仕組みでセンサを扱うことができるようになりました。しかし、これで満足してはいられず、これを応用したらどのようなことができるのか、どんなものをつくると面白くなるか、実際の作品をつくりながら表現していきたいと思います。次回からはこれまでの仕組みを応用して、作品化する過程とつくるテクニックを紹介していこうと思います。

実験して原理や仕組みを実証することは重要なことですが、さらにそれを使ったら何ができるのか、つくりながら、考えながら応用の幅を広げてきたいですね。

フォトリフレクタ(フォトインタラプタ)に関する基礎知識をもっと知りたい方はローム「エレクトロニクス豆知識」をチェック!

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伊藤 尚未

日本電子工作普及推進委員会代表、メディアアーティスト。サイエンスライター、動物園の飼育員のフリした電気工事士、理科実験教室講師、ワークショップ講師、教材開発など、幅広く活動中。 月刊「子供の科学(誠文堂新光社)」で電子工作の連載を続けて19年、代表的な書籍は「電子工作大図鑑」「電子工作パーフェクトガイド」があります。