インタビュー / ドローン

ドローンをビジネスにする方法 写真家 庄野正弘さんインタビューVol.1

近年、ドローンが盛り上がりを見せています。テレビを見ていてもコマーシャルや旅情報番組などでドローンを使ったと思われる映像を多く見るようになりました。ホビーとしての活用だけでなく、「ドローンを仕事にしたい!」という人も多いのだとか。その背景には、玩具としてのドローンか高性能だけど高価格のドローンといった両極端な選択肢しかなかったのが、高性能だけど比較的安価なドローンが登場したことが拍車をかけているようです。
ドローンをビジネスに取り入れている写真家の庄野正弘さんにいろいろ伺ってみました。

庄野氏前編1

ありえないアングルで撮影できるのが魅力

──庄野さんはどうしてカメラマンになろうと思われたのですか?
高校卒業時に、これからの進路を考えたとき、バイクとカメラが好きだったので、整備士になるかカメラマンになるかを考えました。でも、僕がバイクのパーツを治そうとするとなぜか、ネジが余る(笑)。これでは整備士はムリだなと思い、カメラマンになるために日本写真芸術専門学校に進むことにしました。

──写真の学校の卒業後、会社に入ってカメラマンとしてスタートされたわけですね。
学校を卒業するとき、僕が車の撮影が好きだということを知っている同級生が「こんな会社があるよ」と教えてくれたのがフォトムでした。ここは車のカタログに使用する写真などを専門に撮っている会社でした。

──車などのメカニック系は、撮影が特に難しい分野ですよね。
そうです。車の撮影はハードルが高く、特にライティングが重要です。カメラマンになりたくて入社しましたが、ライトを車にどうあてるかの指示をライトマンに適切に出来るようになるまでは車の撮影なんかさせてもらえませんでした。僕はライトマンから始めて次にカメラアシスタント、そしてようやくカメラマンとなりました。それまでの7、8年は下積みです。でも、そこで学んだライティングの技術は今も役立っています。

──ドローンを仕事に使うようになったのはどうしてですか?
2007年にフォトムを退社し、フリーランスで活動するようになりました。ドローンを始めたのは2014年からです。その頃、DJIの「PHANTOM2(ファントム2)」が出たあたりで、空撮というあり得ないアングルから撮影できる、ということがカメラマンから見てとても魅力的だったんです。

──一番最初に購入したドローンはファントム2なんですか?
その前にまずドローンを知ろうと、安いトイドローンを購入しました。ドローン(当時はマルチコプター)をやりたいという事を知り合いに話すと木更津にあるラジコン専門の飛行場で飛行させている人を紹介してくれたので、買ってまだ2か月くらいのトイドローンを持って行って飛行させました。すると僕の師匠となる方が「それだけ飛ばせるんだったらこれも飛ばせるよ」と言ってファントム2を貸してくれたんです。飛ばしてみたらトイドローンより圧倒的に飛行も安定しているし、操作はラク。これからは動画の時代だと思っていましたし、ドローンを仕事にするのなら、この機会を逃がしてはダメだと思い、即購入することにしました。本体だけでなくオプション揃えたので40万円くらい投資することになりました。

コンテストが転機になる

──「あり得ないアングルから撮影できる」ことがドローンの魅力だと思ったのですね。
そうです。でも、上空から美しい風景を撮影する、というドローンらしい映像はその頃でも少しずつ出始めていました。僕はそのような映像を撮りたかったわけではなく、例えば、自分より下の目線から上空に伸びて行く、無限に広がって行くような映像こそが真のドローンの良さだと思っていました。そこにカメラマンならではの映像の美しさを付加する。カメラマンが撮るからこその構図の綺麗さや映像の美しさを、ライティングを学んだ人間ならでは光と影の映像にこだわり、他のドローン映像作家と差を付けて行きたい。それを僕の魅力にしたいと考えていました。

──ドローンで撮ったと思わなかった映像が実はドローンだった、というのは面白いですよね。
これは実際に撮っている人がいますが、車のなかから外に飛び出し、空を舞う映像なんていうのがあります。手持ちのカメラで撮っていると思っていたのが実はドローンだった、というものです。それをワンカットで撮ると面白い映像になります。

──デジタルハリウッドロボティックアカデミー主催の「ドローンムービーコンテスト2016」で審査員特別賞を受賞されていますね。
山梨県にある「身曾岐神社」を撮影した作品です。コンテストがある、と知ったのは締切ギリギリだったのですが、以前に許可を頂いて撮った映像素材があったので、急いで編集して応募しました。この作品には空撮というドローンならではの映像もありますが、先ほど言った、目線よりも下の高さを進んでいたのが空に昇って行く、という撮り方も取り入れています。それに、スチール写真も多用しています。そのような自分らしい映像を評価してもらえたみたいです。この作品を見た方から仕事を頂くこともあります。

──身曾岐神社はゆずの北川悠仁さんのお父さんが神主さんで、北川さんと高島彩さんが挙式をあげた場所でもあり、auのCM「夏のトビラ・英雄だけの夏」篇のロケ地でも有名ですよね。
※ただし、現在はドローンの飛行は禁止されている。
身曾岐神社婚礼空撮  【ドローンムービーコンテスト審査員特別賞授賞作品】

ドローンはビジネスになる

──スチールとドローンではどちらの仕事が多いのですか?
半分半分かまだスチールの方が少し多いくらいです。ドローン撮影での代表的な作品には東京電機大学未来科学部の紹介ムービーや品川区 日蓮宗妙建山 本立寺など。最近の大きな仕事では川崎市のPRムービーがあります。これは川崎市からの依頼だったので、普通ならまず許可が下りないような場所での映像がふんだんに盛り込まれています。例えば、スタジアムやコンビナートの夜景の空撮など。このような映像は他にはないはずです。

品川区 日蓮宗妙建山 本立寺

Kawasaki

──ドローンはビジネスになりますか?
ドローンはひとつのツールであって、テレビや映画など以外にも農業調査や農薬散布、自然環境や建築物のリサーチなどさまざまな活用用途があります。マンションの点検にドローンを活用している会社もあるように、ビジネス方面での活用はもっと広がって行くものと思います。今後は不動産関係の企業はどこも1機はドローンを保有するようになるかもしれません。もちろん、法律との兼ね合いもあるのでどのようになるかはわかりませんが。
僕もとある施設に設けられた駐車場における交通量を調べるため、6時間ごとにドローンを飛ばして車が何台停まっているのかの調査をお手伝いしたことがあります。また、結婚式場から他にない特別なメモリームービーを作りたいという依頼もありました。ただ、それを定期的なビジネスにするとなると雨の日は飛ばせないからどうするとか、課題はあるとは思います。

──ドローンでビジネスにしたいという人は多いみたいですね。
ただし、「ドローンを飛ばせます」「空撮撮れます」だけではもう、ビジネスにはならないでしょうね。すでに多くの人がやっている分野にこれから参入するのは難しいと思います。その意味では飽和状態と言えるでしょう。ドローンをビジネスにするのはそんなに甘くはない。
やるとしたら、ビジネス用途としては可能性はあるので、例えば測量などの専門知識のある人が、その専門分野の延長でドローンを活用することでビジネスチャンスが生まれるのではないでしょうか。私も「ドローンは数種類あるカメラの中のうちの1つ」と考えています。他に武器を持っていない人がドローンだけで勝負するのは難しいと思います。

──庄野さんがやられているような映像系への参入は難しいというわけですね。
正直、そうだと思います。地方のカメラマンが縁があって近くのお寺や神社を撮らせてもらえる、ということはあるかもしれませんが、ドローンを持っていれば仕事になるだろう、という考えはもはや通用しないでしょうね。

庄野氏前編2

重要なのは「どう活用するのか」
ドローンは特別なものではなく、カメラやビデオと同じ誰もが使えるツールです。
「カメラで写真が撮れる」「ビデオで映像が撮れる」だけではビジネスにならないのと同じように、いかにしてドローンを活用するのか、ドローンを活用することで何ができるのか?が重要なのは当たり前かもしれません。
それでも、多くの人を魅了するドローン。Vol.2ではドローンを始める方法を聞いてみました。

Device Plus編集部

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