「やりたいことができるからすごく楽しい」
大学ロボコンに捧げる青春。
「NHK大学ロボコン2014」で初優勝を果たした名古屋工業大学「ロボコン工房」は、「多人数で楽しくものづくりを経験すること」をモットーに1999年に設立された。現在、部員は26名。インタビューに登場した5人は、もちろん「ロボコン工房」の主要メンバー。青春をロボコンに捧げる5人に大学ロボコンの魅力を伺いつつ、その素顔に迫った。
■ロボットをつくる先輩たちに憧れて
「ロボコン工房」に入部したきっかけは?
牧島:せっかくこの大学に入ったんだから、何か身に付くことをやりたいと思っていろいろ探した結果、一番面白そうだなと思ったのが「ロボコン工房」でした。
野々目:僕は高校時代にプログラミングが好きだったので、大学に入ったらそれができる部活に入りたいと思っていたんですよ。それでゲームをつくる部活と「ロボコン工房」の二択で迷ったんですけど、部活見学したときの雰囲気が良かったんで決めました。
大竹:僕もそうですね。入学式の前に部活見学したらすごく雰囲気が良くて。高校までまったくものづくりには関わっていなかったんですけど、ロボットをつくっている先輩たちが、めっちゃかっこいいなと思って即決で入っちゃいました。
柘植:僕は中学時代からプログラミングをすごいやっていて、中3になるとコンピュータだけだとなんか物足りなくて電子工作を始めたんです。当時からマイコンとかそういう本がありましたから。それでいろいろやっていたんですけど、家がこの大学に近いので高校生のときにオープンキャンパスに来たんです。そのときに「ロボコン工房」の展示があって、部長さんがすごい個性的な方でいろいろ話したら、「面白いなあ、ここ」と思って。大学受験して「ロボコン工房」にすぐ入りました。大竹さんほどじゃないけど、僕も速攻です(笑)
入部してみて、イメージ通りでしたか?
牧島:予想以上にブラックというか(笑)
一同:(大爆笑)
牧島:結構、忙しいんですよ(笑)。すごく面白いからいいんですけど。
柘植:やりたいことができるからね。すごく楽しいよね。
大竹:先輩たちに憧れてこの部に入ったんですけど、何も知らなかった僕が回路までつくれるようになったんですよ。すごく充実しています。
柘植さんは電子工作にハマっていたそうですが、
最初につくったのは?
柘植:何だろう? …電光掲示板ですかね。LEDマトリクスをいっぱい買ってきて。
久野:中学生で? すげえな(笑)
柘植:中3ぐらいかな。5個ぐらい並列にしてピコピコやろうと思ったんですけど、処理能力が低くてめちゃくちゃ遅くて、「思ったのと違う!」となったのが最初です(笑)。ユニバーサル基板で、めっちゃ配線してやったんですけど全然イメージ通りじゃなかった。苦い思い出ですね。
久野:やってるんだなあ。
今も電子工作を?
柘植:今はできないですね。ロボコン一色です(笑)
■個性豊かな仲間たちと出会って
久野さんが入部した理由は?
久野:僕は高専出身なんですけど、その最後の大会で満足のいく結果を残せなかったからですね。高専のときは1年からロボコンの部に入って、5年間ずっとやっていました。4年生のときに全国ベスト4に入って、「来年は優勝するぞ」と意気込んで自分の集大成として取り組んだロボットが、地区大会の決勝で負けちゃったんですよ。それがすごい悔しくて。他の地区大会の優勝タイムと比べても、僕らの方が10秒ぐらい速かったんですよ。でも決勝の相手は、僕らのロボットよりさらに10秒ぐらい速くて。機構もほとんど同じだったんで、推薦でも全国にいけなくて、それで僕の高専ロボコンは終わっちゃったんです。これじゃ終われないと思って入部しました。
高専と比べて、大学はいかがですか?
久野:「なんだ、こいつらは?」みたいな(笑)
柘植:どういうこと?
一同:(大爆笑)
久野:高専とは全く人種が違う人たちが集まっていたんですよ(笑)
具体的にどういう所が違うんですか?
柘植:ぶっちゃけていいよ(笑)
一同:(大爆笑)
久野:マジッすか(笑)。高専は高校生も一緒なので、“元気”な感じなんですけど、こっちはどっちかというとすごく…、個性的?
一同:(大爆笑)
柘植:今すごい言葉選んだでしょ(笑)。高専にはいなかった?
久野:いや、いたけどレベルも質もちょっと違うね。やっぱり大学ってすごく、いい意味でいろいろな人がいるんだなと思って驚きました。特に個性的なのが、この3年(他の4人を指さして)の世代。個性的な分、飛びぬけているというか、すごく技術力が高くて、だから今年の優勝につながったんだと思います。
一同:(満更でもない表情)
■何でもできる楽しさ。夢はやっぱり…
素朴な質問ですが、ロボットの予算はどれぐらい?
柘植:今回ので、どれぐらいだろう?
久野:センサーも安く買ったし、サーフェスも中古だし。アルミに、モーター4つにサーボで…。
大竹:モータードライブも入るから。
柘植:となると親ロボットで 30万弱ぐらいですかね。お金ないもんですから(笑)、中古品使って、オークションとかうまく活用してやりくりしています。
資金調達はどのように?
柘植:部員から集める部費が半分。あとは支援金などですね。そんな具合ですから、練習場もないんです(笑)
海外では国が応援しているところもあるみたいですが、
うらやましくないですか?
柘植:お金があったらそれはうれしいですけど。でも、欲しいと思ったモノは、中古でも何でも探して揃えられるし。欲しいモノはどうにかしてでも買おうという方向で僕たちは動いているんで。今のところ、やりたいことは工夫とアイディアでできてるんですよね。
たくましいですね。将来はどういう仕事を?
牧島:もちろんエンジニアです。どこの企業がいいとか具体的なのはまだないですけど。
つくりたいモノは?
牧島:人の役に立つモノがつくりたいですね。
柘植:無難(笑)
一同:(大爆笑)
牧島:まだそんなに具体的ではないですね(笑)。考えてはいますが。
柘植:設計やればいいのに。
牧島:ああ、設計はやりたいね。
柘植:センスあるもんね。僕は回路屋さんなんで、電気回路をいじれればそれで幸せです(笑)
野々目:僕もプログラミングしていれば幸せです。正月頃にちょっとしたシューティングゲームをつくったんですけど、もっと本格的なゲームをつくってみたいですね。
久野:僕は大きいのをつくりたい。電車だったり、船だったり、航空機だったり…。そういうのがいいなあ。
大竹:僕は全然決まってないです。ものづくりの世界のことを何も知らなくて、先輩に憧れてこの世界に入ってきたので、これからもっともっといろいろ勉強してから決めたいですね。
インドでの活躍、楽しみにしています。
今日はありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
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