ロボコン

NHK学生ロボコン2022前日テストラン速報

2022年6月11日(土)、大田区総合体育館で「NHK学生ロボコン2022」前日テストランが開催された。十分に幅を取ったチームピットや人の集合を回避するためのモニタなど、随所に感染対策を感じるフィールドデザインになっている。

コロナ禍による行動制限の中、前回の学ロボが延期に延期を重ねたために開発期間も平素より短かった。学校によっては伝統の継承も難しくなっているかもしれない。そんな中でも16校がロボットを仕上げ、会場に集結した。

今日のテストランと明日の本戦の模様は、デバプラの公式Twitterからもリアルタイムでお知らせする。本稿では各校のテストランの様子をお届けする。

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1.東京大学:RoboTech

テストラン1走目は伝統の強豪チーム、東大RoboTechだ。統制の取れた動きに「ロボコンが始まった」実感を受ける。

およそ1分のセッティングの後、チームリーダーのコールと同時にR1がスタートゾーンから飛び出し、ボールを回収した。低重心で地面に張り付くような動き、相変わらず足回りが強い。10秒ほどでヒッターボールを回収してスタートゾーンに戻る。ラゴリディスクの前でチームメンバーがダミーの敵シーカーを動かすと、正確に追尾してボールオンヘッド(以下、BOH)を撃ち落としている、めちゃくちゃ速い!

R1はそのまますぐにシーカーの動きに入る。ラゴリブレイクはボール1発で決めるが、シーカーR2のディスク回収で1度ミスが出た。

 

テストラン2回目では、スタートからR1がボール回収してスタートゾーンに戻るまでの時間はおよそ8秒に縮まった。R2のラゴリパイルも順調に進み、テストラン3回目ではさまざまな状況に対応するためのデータを集めているようだ。パーフェクトラゴリとBOH撃ち落としでの完全勝利を明確に見据えたテストが進む。

 

2.豊橋技術科学大学:とよはし☆ロボコンズ

重心が低いが、特にR1の背が高い。R1は同時に3個のボールを打ち出す機構で、1発の打ち出しで全ラゴリディスクのブレイクを狙う。R1の足が速い。

 

テストラン1回目では、シーカーR2のセッティングに少し手間取っている様子があった。ボールの回収と受け渡し、ラゴリブレイクまでは進んだが、ラゴリパイルとBOH狙いのヒッターボール打ち出しには至れず時間終了となった。

テストラン2回目、変わらずR1の動きは順調だ。10秒ほどでボールを回収してラゴリブレイク達成!R2がラゴリパイルに入る。ディスク回収は3Dプリンタで作ったファンが吸い込む仕組みで、5本の腕でバラバラに運ばれるディスクが可愛い。

R2が動いている最中にBOHが落ちてしまったが、1回目よりはかなり順調に動いている様子だ。

 

3.信州大学:ALPS

テストラン1回目ではシーカーR1の打ち出し精度が高く、着実なラゴリブレイクを達成している。

ただしR2がスタートゾーンから動けない。うまく起動できていない様子だ。

テストラン2回目ではR2もしっかり動いた。R1の射出精度も変わらず高く、個々の動きは順調そうだ。全体的に調子を上げているのが分かる。残るタスクはボールの受け渡しとBOHのヒットか。

 

4.金沢工業大学:翡翠(ヒスイ)

R2が多才で、ボール回収と受け渡し、シーカーの時はBOHを親機から分離して「お留守番」させる展開機構を持つ。お留守番BOHはかなりポールがスリムだ。相手のミスショットを誘う作戦かと思ったら「重量制限」とのこと。しかしBOHを狙ってポールに当たり、それでBOHが落下すると即時シーカーチームのラゴリパイル達成が成立するため、相手ヒッターにとっては「狙いにくい」的になっている。

 

テストラン1回目ではボールの回収~受け渡し~打ち出しまで。2回目はR2のみを出し、ラゴリパイルに集中した。事前インタビューでは、開発期間が短いなかで新しい制御機構を取り入れたことを教えてくれた。

 

5.東京農工大学:R.U.R

チームユニフォームのアロハシャツも健在。操縦者の背負ったエアポンプが可愛い。およそ1分のセッティングタイム後、R2がスムーズに走ってヒッターボールを回収する。ただ、R1になにかトラブルか?クルーが集まってうまく見えない。

R2の動きは良いようで、ラゴリディスクの積み上げは順調に進んでいる。複数のディスクをマシン内で積み上げてからパイル位置に置く。

 

農工大が面白いのはBOHの守り方だ。BOHをアームの先に置いてアームを水平に回し、敵ヒッターによる撃ち落としを防御する。これは東大の追尾射撃との対決を見てみたい。

テストラン2回目でも、R1スタート前に少し調整をしている様子。しかしスタートしたら順調に動き出した。試合の流れを確かめながら、全体の動きを見ているようなテストランだ。

 

6.筑波大学:つくばろぼっとサークル

R2のボール回収が鮮やかだ。R1の射出の精度が高く、複数回のブレイクショットテストでは、ほぼ1発でラゴリブレイクを達成する。非常に堅実で美しい動き。打ち出し調整も順調な様子だ。

シーカーR2のラゴリパイルは、ディスクを1枚ずつ集めて堅実に積み上げるタイプの機構だ。

BOHは農工大同様にぶんまわしで守る。

 

7.九州大学:KURT

テストラン1回目、R1のラゴリブレイクは1発で決めた。R2のボール回収も問題なさそうに見える。

R2のBOHは子機を展開して攻撃を回避するタイプの機構だ。残り30秒でR2のラゴリパイルに入ったが、時間終了に伴い最後までのテストはできなかった。テストラン2回目以降は調整多めか?

 

8.千葉大学:CRS

2台ともマシンが大きい! 特にR1の背がとても高い。R2が順調にボールを回収するが、R1への受け渡しで落としてしまった。R2からR1へのボール受け渡しでボールがフィールドに触れるとそのボールは使えなくなってしまう。

ラゴリブレイクとパイルの動きはスムーズ。最も大きなディスクをBOHのガードに使う戦略が面白い。

 

9.工学院大学:KRP

セッティングタイムに落ち着きが見られる。スタートから10秒程度、1発でラゴリブレイクを達成し、R2がラゴリパイルに入る。スムーズに積み上げていくが、床材の違いかR2の動きが機敏すぎるためか、BOHがなかなかの頻度で落下している。

テストランタイム中にラゴリパイルを達成してBOHのヒットテストへ。ダミーの敵シーカーを立ててしっかりBOHを落としている。

 

テストラン2回目では、R2からR1へのボールの受け渡し(R2が投げてR1がネットで受け止める)もスムーズだ。かなり順調に動いているように見えるが、ピットで話を聞くと「まだまだ課題がある」とのこと。

 

10.東京工科大学:プロジェクトR

 

R1、R2ともに順調に動いている。R2のボール回収~R1への受け渡し~ラゴリブレイクまではとてもスムーズだ。BOHの撃ち落としもできたが、ヒッターボールがポールに当たって倒れる場面も。

ラゴリパイルのR2は2機に分裂して子機がBOHを保持する「お留守番」タイプ、ただし工科大の子機はけっこうアクティブに動く。ヒッターボールには速度制限があるため、ヒッターから離れた位置であれば回避も不可能ではないようだ。

 

11.京都工芸繊維大学:ForteFibre

毎回、精度の高い機構を出してくれる京都工芸繊維大学。R1のボール打ち出し部が独特の形をしている。

テストラン1回目は起動がうまく行っていない様子だ。5分のテストラン目一杯使って調整し、R2のボール回収と受け渡し、打ち出しまではどうにかこぎつけた。

テストラン2回目以降、少しずつ調子を上げている様子。ただしR2がボール回収の際にバッフルに激突している。他校も木製フィールドの「すべり」に苦心している様子で、激突シーンは結構な頻度で見る。ラゴリパイルは順調そうだ。

 

12.富山大学:TomiRobo

富山のテストラン1回目は、ラゴリパイルをメインにしている。大きく広げたアームで近隣にあるディスクをまとめて拾う機構だ。効率よく回収していくが、パイルの最中に崩れてしまった。その後再挑戦してラゴリパイル達成。少し時間はかかっているが、回収、積み上げなど、すべて丁寧かつ確実にこなしている。R1のショットも順調に見える。テストランを繰り返す中で徐々に調子を上げ、R1によるボール回収~打ち出しもしっかり稼働。

 

13.東京都立大学:TEXNITIS

R2のボール回収はスムーズに完了、受け渡しはかなり慎重にやっている様子だ。R1の打ち出しも何度かボールを往復させながら、しっかり当てている。ただし全ディスクのブレイクにはパワーが足りないか?

テストラン2回目、R1の打ち出しに苦労している様子が見える。調整をしているようだ。

R2の動きはかなりスムーズ。昇降型のアームで着実にラゴリパイルしており、安定感がある。テストランのたびに調子を上げている様子だ。

 

14.新潟大学:科学技術研究部

スタート直後、ボール回収に向かったR1がバランスを崩して転倒しかける。背が高く重心も高い位置にあるため、床材の「すべり」が変われば起きやすい問題だろう。R2のディスク回収は順調だ。マシン内部で積み上げてからパイルするタイプで、完成したタワーが美しい。BOHはR2の中心位置からずらした位置に置いてあり、狙いにくくなっている。ただし、その分落下はしやすそうだ。

テストラン終盤には、フィールドのバッフルにR2が激突するシーンもあった。

 

15.長岡技術科学大学:RoboPro長岡

R2がかなりシンプルな機構に見える。ボール回収はR1の仕事で、バッフルに激突してリスタートとなるが、射出は完璧だ。R2は大きくアームを広げてディスクをかき集めていくタイプ。

最後のテストランではR1の射出は順調、R2のディスク回収とパイルまでトライできていた。

 

16.慶應義塾大学:Ilias

R1の射出は順調だが、R2の調整が終わらない様子。テストラン1回目では5分間の持ち時間ぎりぎりまで調整を続けた。

時間終了直前にギリギリで入った2回目のテストランではしっかり調整を済ませており、R2も動き出した。足回りはスムーズだが、ラゴリエリアを超えて敵側のフィールドに入ってしまう。2本のアームで堅実にディスクを拾って積み上げていくタイプで、操縦者のウデやチームメンバーのサポートが重要になる。

 

まとめ

テストラン終了後、進行の確認を兼ねて4ペアのデモ戦が実施された。強豪校同士のハイスピード対決や息の詰まるような点取り対決、BOHを狙い合うもの、リスタートからの復帰のうちに相手チームが戦略を立て直してくるものなど、すでに多彩なゲームが展開された。

テストランやデモ戦で得た経験やデータをもとに、明日のガチンコ対決に備えて16チームは最終調整に入っている。本戦を楽しみにしてほしい。

高専ロボコン2019出場ロボット解剖計画

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