reTerminalと各種センサを使った室内環境測定器の制作準備
こんにちは、ヨシケンです!
今回の連載では、ラズパイ(Raspberry Pi) Computeモジュールに液晶画面が一体となった「reTerminal」というデバイスを活用し、昨今のコロナ禍において重要な室内空気環境の見える化と理想的な環境づくりができるセンサデバイスを作っていきたいと思います。
具体的には、温湿度センサと二酸化炭素センサを使って、部屋の快適度を測り、エアコンや換気などを促すような機能を付けていく予定です。また、日々の天気から熱中症などを予防したり、気圧の変化から天気痛などのアラートを出したりと、家の中やリモートワークで働く時に便利なものにしたいと思います!
特に2022年の夏は日本全国で電力が不足しています。このデバイスを使ってエアコンの温度をこまめに調整することで、少しでも節電に貢献できれば良いのではないでしょうか?
《目次》
1.reTerminalと各種センサの機能について
reTerminalとは、前回の記事でも紹介したように、深セン(中国)のSeeed社が提供するRaspberry Pi Compute ModuleにRaspbianがあらかじめインストールされ、5インチ液晶が付いたオールインワン・パッケージのラズパイ端末です。このreTerminalにセンサを追加するだけで、さまざまな開発や新たなデバイスの作成を簡単に始められます。
また、reTerminalにはあらかじめ以下のようなセンサ、ハードウェア機能などが付いており、詳細はこちらのSeeed社のWikiにも記載されています。
- カスタマイズ可能なボタン × 4個
- 5インチLCDディスプレイ
- 光センサ
- 加速度センサ
- カスタマイズ可能なLED × 4個
2.デバイスをつくるために必要なもの
ここではreTerminalに二酸化炭素センサなどを追加し、あらかじめ付いている液晶画面に部屋の状況を表示、アラートを出すようなデバイスを作りたいと思います。今回の環境計測デバイスをつくるための部品は以下となります。
デバイス制作に必要なもの一覧:
名前、説明 | デバイス |
---|---|
reTerminal Seeed社が提供するRaspberry Pi Compute Moduleを使ったデバイス。 |
|
二酸化炭素センサ CCS811というセンサにより、二酸化炭素濃度を400ppmレベルから計測可能。 |
|
人感センサ 赤外線により人を検知することができるセンサ。 |
|
温湿度センサ 温度、湿度が計測できるデジタルセンサ。 |
|
モバイルバッテリ、外装、ケーブルなど | 必要に合わせて |
3.デバイスの機能と学べること
今回の環境測定デバイスの機能は以下のようなものがあります。
環境測定器の機能:
# | 機能 |
---|---|
1 | ニ酸化炭素センサによるその濃度の測定、表示 |
2 | 温湿度センサから部屋の快適度を測定し、水分補給やクーラーを入れるなど対応を促す |
3 | 5インチ液晶画面に、GUIアプリを作成し、表示、熱中症予防などのアラートを出す |
4 | インターネットに接続し、天気などの情報も表示 |
このデバイスをつくることで学べる内容を列挙してみます。
制作を通じて学べること:
# | 学べること |
---|---|
1 | reTerminalの使い方、reTerminalに内蔵されたセンサなどの使い方 |
2 | reTerminalへの各種センサの追加方法、計測の仕方 |
3 | ラズパイでインターネットに接続したサービスの使い方 |
4 | ラズパイでNode-Redを使った画面作り |
4.環境測定のために使用するセンサについて
厚生労働省のガイドによると、適正な室内の空気環境は、以下のような状況だそうです。これを計測し、この基準を越えた時は、窓を開けて適切に換気する必要があります。
ここでは、センサで計測できる以下の基準を使って、部屋の環境を測りたいと思います。これらの数値を超えた時、画面にアラートを出すことで、窓を開けるなどの換気を促すのです。
- 二酸化炭素の含有率:1,000 ppm以下
- 室温:17℃以上28℃以下
- 湿度:40%以上70%以下
また、各天気予報会社が提供している指数なども出してみたいと思います。熱中症を予防する体感温度指数、不快指数や洗濯指数がそれに当たります。
※参考:日本気象協会Webサイト
これらの指数を計測、計算することで、連日続く猛暑の中、部屋の環境を見える化でき、こまめにエアコンの使用などを促します。
それでは今回、部屋の環境を計測するために、写真のようなCCS811というチップが搭載されたセンサを使用したいと思います。
これは、二酸化炭素(CO2)及び金属酸化物(MOx)の含有量などを計測することができるセンサです。eCO2というパラメータで、二酸化炭素を400〜29206 ppmの範囲で測ることができます。
このようなセンサをreTerminalで使用する場合の初期セットアップは、こちらの記事を参照しておこなってください。また、reTerminalとセンサを使って開発するために、Node-redというブロック・プログラミングのツールを使用します。ラズパイのコンソールから以下のコマンドを入力すると、Node-REDのインストールをすることができます。
$ bash <(curl -sL https://raw.githubusercontent.com/node-red/linux-installers/master/deb/update-nodejs-and-nodered)
Node-REDがインストールできたら、画面を作成するDashboardやreTerminalのセンサを使うためのノードも上記記事を参照してインストールしてください。
最後に先ほどの二酸化炭素センサのノードもインストールしておきます。パレットというところから、 node-red-contrib-ccs811 を検索し、ccs811センサのノードを選んで、実行します。
これでreTerminalを使ったものづくりの準備ができました。
5. まとめ
今回の連載ではRaspberryPi Compute Moduleが入ったreTerminalを活用し、二酸化炭素センサなどを使って、室内環境を計測し、数値から効率的に部屋の換気がおこなえるようなデバイスを作っていきます。センサを選ぶことにより、さまざまな数値を計測でき、シチュエーションに応じた室内環境をチェックできるようにしていきます。
次回からは実際にデバイス制作に取り掛かっていきたいと思います。お楽しみに!
今回の連載の流れ
第1回: reTerminalと各種センサを使った室内環境測定器の制作準備(今回)
第2回:温室度センサと二酸化炭素センサで快適な室内チェック
第3回: 天気予報から熱中症予防、天気痛情報を表示
第4回: インターネット接続から情報取得、表示して、ハードウェアの完成!