第1回:ドローンはこんなに遊べる!ものづくりラバーに贈るマイクロドローン入門 その1
2019年現在、もはや「ドローンを自作する!」こと自体はそこまでハードルは高くありません。適切なパーツをチョイスして組み立てて、ちょこっとはんだ付けするだけで簡単に飛ぶ機体を作ることができます。連載第2回は、日本で購入できるものかつ、合法な範囲で、そして「ちゃんと飛ぶ」ドローンを作っていきたいと思います。まずはこちらが完成品です。
かぶせているキャノピー(カバー)はお好きなものを…(笑)。あってもなくても大丈夫です。
このサイズのドローンはAmazonでも売っていますが、Amazonなどで売っているトイドローンと比べると運動性能がとても高いのでレース用にも使うことができるドローンです。FPVといって、さらにカメラを搭載してその映像を無線電波で飛ばしてゴーグルで見ながら操縦するといったレースが最近だとはやっていますが、そういったものにも応用可能です。FPVについては次回詳細説明していきます。
では、さっそく、購入リストを見てみます。
自作マイクロドローン買い物リスト
これらのマイクロドローンは、マイクロドローンという呼称以外にも、TINYWHOOP(タイニーウープ)やタイニードローンと言われることもあります。検索するときや調べ物をするときの参考にしてください。なお、ドローン系のパーツのほとんどが海外製であり、英語が可能な方は海外から直接購入するのもひとつですが、今回は国内で取扱のある通販サイトで紹介します。
FC(フライトコントローラ)
Oversky F3 BeeStorm FPV flight control Futaba S-FHSS 8ch OSD
まずはドローンの脳部分であるフライトコントローラ(以下FC)です。これはレースや自作ドローンの世界ではとても有名なオープンソースの「Betaflight」のソフトウェアが利用可能なFCを利用することにします。
プロポ(コントローラ)
ここで「S-FHSS」というワードに注目してください。このS-FHSSとはコントローラとドローンの間の通信プロトコルの規格の一つであり、Futabaという日本産のコントローラで一般的なタイプのものです。あとでコントローラを選ぶときに重要になるので「S-FHSS」というワードや、それに代わるものですと「FrSky」や「DSMX」と言ったワードが出てくることがあるので注意しましょう。
上述のS-FHSSに対応するプロポを選びます。国内だとFutabaというメーカがあり、とてもメジャーですが、今回おすすめするのは「マルチプロトコル」に対応した汎用性の高いプロポです。
フレーム
Colored Cockroach Super-Durable Frame RUBY
ドローンのフレームはモータとFCをうまく支えるものであれば極論なんでもよいです。例えばこんな木の枝で飛ばしている人もいるくらいです笑
#CyberpunkisNow DIY drone posted to Reddit by user FluidFact. pic.twitter.com/fnMmvhM5TT
— ΜΔDΞRΔS (@hackermaderas) July 27, 2019
重量や形状、バランス、振動の伝わり方などを考慮する必要がありとても重要なパーツなので、初心者の方は必ず完成しているもの(笑)を購入してください!
これは、かなり耐久性の高いフレームで多少の衝突にも全く壊れないのが特徴です。初心者は慣れるまで、とにかくぶつかることが多いので、こうしたデュアラブルなフレームを使うのがおすすめです。なお、フレームは使うモータのサイズと合わせる必要がありますので、その点は注意してください。なお、今回チョイスしているのは後述のモータのサイズ(6mmモーター)に合うものを選んでいます。モータサイズによっては入らないので気をつけてください。
モータ
http://shop.roboz.co.jp/?pid=144006184
今回のモータは0615というサイズです。06が缶の太さ、15が缶の高さを表していると理解してください。最初は聞き慣れないですが、KVという単位があり今回は19700kvのものです。この値が高いとより多く回転させるため早く飛べたりしますが燃費も悪くなるトレードオフの関係にあります。一般的に小さいサイズのモータは高いKV、大きいサイズのモータは低いKVになります。参考として、例えば空撮機としてメジャーなDJI社のPhantomはだいたい800KVくらいです。
※KV(ケーブイ)値:電圧1Vあたりのブラシレスモータの回転数を示すものです。例えば、2セル(7.4V)のリポバッテリーとKV値1000のモータの場合、7.4V×KV値1,000=7,400rpmとなります。
プロペラ
LDARC 31MM PROPS Hole0.8mm WHITE 10Pairs
プロペラは2枚羽、3枚羽、4枚羽の羽の枚数やプラスチック樹脂の質や形状などが異なります。今回は3枚をチョイスします。4枚のほうが操作が細やかになり、2枚だとスピードは出る分、操作が難しくなります。私は間をとって3枚がスピードも出て操作感も良く好きなので、3枚を選んでいます。
バッテリ
http://www.helimonster.jp/?pid=117076297
バッテリはリポバッテリで定格電圧が3.7Vです。バッテリを探しているとHVと表記されているものもありますが、そちらも利用可能です。容量は今回250mAhのものをチョイスしていますが、サイズが大きくなればその分長く飛行できますが、重量が重くなると操作感も重くなるので、飛ばし慣れてからサイズ変更などは検討してみてください。
また、コネクタの形状に種類があります。今回はFCについているデフォルトのコネクタである「PH1.25」というものを使いますが、「PH2.0」を使うことでより大きな出力にすることができます。大きな出力になる分よりパワーもでるためレースをおこなう場合はPH2.0をチョイスすることが多いです。いったんはPH1.25でも問題ないのでこれで進みましょう。なお、バッテリは再充電可能なので充電器を用意しておくようにしましょう。
充電器
Ultrapower UP-S4AC AC DC Charger for 1 and 2 Cell Micro Drone Plane Batteries
これで、ドローンの準備は揃いました。早速作り始めましょう。
マイクロドローンを自作してみる
必要な工具はプラスドライバくらいです。はんだごても今回は基本的には不要です。
まずはフレームのモータ用の穴にモータを入れていきます。このときモータの赤青線(時計回り)黒白線(反時計回り)の二種類あることに注意してください。
このような感じです。前後ろがあるので注意してください。モータの線は左上と右下が黒白線です。
続いてFCを取り付けます。取り付けるときに付属のゴムダンパとネジを一緒に取り付けます。ゴムやネジが足りない場合はこちらで購入できます。
BeeBrain hardware – grommets and screws
ゴムダンパをこのような形で4隅に取り付け、フレームの突起している箇所にはめ込みます。その後、ネジを締めて固定します。
固定できたら、モータのコネクタ雄をFCの背面のコネクタ雌に差し込みます。ケーブルは遊んでいると絡まることがあるので、まとめてあげるのがおすすめです。ケーブルをよって短くすることもできます。
後はモータにプロペラを取り付けていきます。このとき、回転方向とプロペラの形状を合わせる必要があります。下記写真だと左右で形状が異なるのがわかるでしょうか。
反対に取り付けたり、付け間違えるとドローンは正しく飛びません。以下のように対角線が同じになるように、隣同士が異なるようにつけます。今回は、左上が反時計回りに回るモータなので、プロペラもそれに合わせて取り付けます。
これでほぼ完成です。めちゃめちゃ簡単ですよね?慣れれば10分くらいで制作できてしまう内容です。後は、キャノピーがあればかぶせてあげて完成となります。キャノピーはいろいろな種類があって、好みで選ぶも良し、つけないのも良し、自作しても良しです。たとえば、このような可愛らしいキャノピーを作る知人もおります。
さて、飛行可能なマイクロドローンがこれで完成しました!
ここからは、飛ばすための設定作業を進めていきます。実はマイクロドローンの肝はここからです。
プロポとドローンをバインド接続する
まずはプロポの設定をします。S-FHSSというプロトコルに設定変更してドローンと通信できる準備をします。Model Setup > Model TypeからMulti >プロトコルでS-FHSSを選択します。
設定ができたら、プロポの電源をONのまま、ドローンのバッテリを準備します。そして、FCの反対側にある黒いボタン(青い枠で囲んだ部分)を押しながらバッテリを刺してドローンの電源をONにします。
うまくバインドすると、FCについている赤いLEDが点滅状態から点灯状態に変わります。下の写真だとFCの右上のほうの赤い光です。
点灯状態にならない場合は、正しく黒いボタンが押せていないことがほとんどなので、しっかり押した状態でバッテリ挿入してください。プロボの電源はONにしっぱなしで特に操作は必要ありません。
ここまで来ればもうちょっとです。次はFC(Betaflight)の設定です。
ドローンのFC(BETAFLIGHT)の設定
BETAFLIGHTというアプリをダウンロードしてください。今回は、最新バージョンではなく、一つ前の安定バージョンの10.40を利用します。
https://github.com/betaflight/betaflight-configurator/releases/tag/10.4.0
設定については動画に説明をまとめました。
もしも、Receiverタブでスティックの方向が合っていない場合は、プロポ(T8SG V2+)のMixerという設定でReverse設定をかけたり、スイッチの割当をすることができます。日本語のマニュアルもあるのでこちらを見ながら設定するのがオススメです。
https://www.deviationtx.com/manuals/html-devo10-ja/
いざ、フライトへ
これでフライトできる準備が整いました。飛ばすときは小さい軽量ドローンなので室内でも問題ありませんが、周囲の安全には注意してスペースを確保して始めてください。BETAFLIGHTで割り当てた「ARM」のスイッチをONにすることでモータが回転し、ドローンが浮き始めます。最初はとにかく難しいので、ドローンのお尻を見ながら姿勢をキープする練習から始めてみましょう。
いかがでしたでしょうか?作るところまでは、サッとできても、設定のところが少しハードルが高いです。ただ、ここは一回やってしまえば設定を使い回せるので、大変なのは最初の1回だけです。
次回はいよいよマイクロドローンの醍醐味である「FPV」について紹介していきたいと思います。カメラセンサを搭載してドローンの拡張をおこないます。FPVをすると、同じ場所に居ながらにして、どこへでもいけてしまう身体の拡張体験ができるのが魅力です。第3回の記事が待てない人は、まずは理由も聞かずに「アマチュア無線4級」の国家資格を取得しておきましょう。詳細は次回までお待ちください!
今回の連載の流れ
第1回:ドローンはこんなに遊べる!ものづくりラバーに贈るマイクロドローン入門 その1
第2回:ドローンサクッと自作!1時間でできるドローン製作入門 マイクロドローン入門その2(今回)
第3回:ドローンをFPV化したい人のための制作ガイド マイクロドローン入門その3
第4回:あなたもできるドローンレース入門 マイクロドローン入門その4