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2026年3月14~15日、岐阜市少年自然の家(岐阜県)で「東海北陸ロボコン交流会」が開催された。今年は、6校から1~2年生を中心に35人が集合。ルーキーエンジニアならではの苦労やチーム運営の課題、実践的な知識を持ち寄り、等身大の悩みを共有する2日間となった。デバプラ編集部も初日の現地に参加。現地の熱気をお届けする。

 

10回目となる今回の参加校は、岐阜高専、沼津高専、豊田高専、福井高専、国際高専、石川高専の6校。協賛企業も含めた10ブースが出展した。

幹事の岩瀬さん(写真右・沼津高専)と長野さん(写真左・同)の進行のもと、開会式が始まった。

 

技術勉強会では、「TechWeb」で連載中の「スギケン先生のモータードライバー道場」の著者で、モータ制御のスペシャリストでもあるスギケン先生が登場。モータドライバ活用の勘所を紹介した。

 

設計現場の「あるある」エピソードでは、チーム内の情報共有やバージョン管理、データ確認など、皆が似た課題を抱えていることが分かって笑いが起きるシーンも。実は企業のエンジニアも同じように悩んでいる、普遍的な課題だ。

 

ブース展示・自由交流

今回の交流会は「基礎的な技術力の向上」を重視し、ミニロボコンの開催は見送られた。参加した全校がブースを出展し、他校のブースを巡って悩みや開発方針などを共有する時間がたっぷり設定されていた。
高専ロボコンはもちろん、それ以外の大会に関する展示や情報収集をしている人の姿も多かった。また、開発技術だけではなく、資金調達やメンバー同士のコミュニケーション、チーム全体の運営、進路といった悩みも共通しているようだ。

岐阜高専のブースには、全国ロボコン交流会で注目を集めた50V昇圧基板が登場。モータドライバ関連の展示にも人だかりができていた。

「私はFusionを使っている」「私はOpenSCADです」「あれ使いにくくないですか?」「自分にとっては直感的に使える」……など、愛用のツールや設計思想、試行錯誤の経緯、失敗談なども惜しみなく共有され、盛り上がっている。

 

名刺交換ではいつでも大人気の「基板名刺」。費用を抑える工夫と遊び心をこめたワザが光る。




福井高専のブースでは、USBメモリを持ったロボコニストが「CADあります」の表示に吸い寄せられていく。人の作った図面の生データは貴重だ。

 

沼津高専の金田さん。高専に入って初めてロボット制作を始めた、機構担当のエースだ。お気に入り素材はアルミの角パイプ。

「設計も試作も楽しいが、試作そのものに時間がかかると、素早い改善ができなくなって、試行錯誤の回数が減ってしまう。開発のサイクルを回すためには、もっと速く作れる方法を考えるべきなのだけれど……」とのこと。

 

ほとんどのメンバーが他校の調査に出かけ、ブースがほとんど無人のチームもある。豊田高専の森下さんは「聞きたいことも話したいこともたくさんある」と言い、忙しそうに会場中を歩き回っていた。

 

 

幹事インタビュー「東海北陸地区全体でレベルアップしたい」

岩瀬さん(沼津高専・電気電子工学科、東海北陸ロボコン交流会 幹事団代表 / 当時)

── 今回の交流会の狙いと手応えについてお聞かせください。

今回の交流会は参加の間口を広げ、これまで交流会に参加したことのない人が、怖気づかずに来られるような会にしたいと思っていました。1月に兵庫県で開催された「全国ロボコン交流会」は非常に伝統ある大規模な催しで、今回も400人近くの人が集まりました。東海北陸交流会は少し狙いを変え、「経験の浅い1~2年生が、初めて他校の人と話す場所になれること」を目指しています。各ブースをみんなが回ってくれて、誰も来ないブースがありません。これは嬉しいですね。

── 岩瀬さんご自身がロボコンを始めたきっかけと、幹事を務めるようになった経緯をお聞かせください。

私の5歳上の兄が鈴鹿高専でロボコンをやっていました。全国大会まで連れて行ってもらったのをきっかけに「自分もやってみたい」と思うようになり、沼津高専に入りました。
沼津高専は、1〜3年生がメインの実動部隊で、4~5年生は主にバックアップをする、という体制を取っています。1年生のうちは上級生から基礎を教わる期間で、2年生になると初めてチームメンバーとして大会に出ます。3年生からはロボット制作のメインを担い、2〜3年生でチームを回す形になります。そのチームを支えるのが4年生の大きな役割で、下級生からの質問にしっかりと答える姿勢と実力が求められます。
私もこの体制の中で、4年生からは選手としてではなく、後輩を見守る立場にシフトしています。

 ── 3年生が終わったら引退というのは、5年制の学校の中では少々もったいないような気もします。どのような背景があるのでしょうか。

どこまでチームにしっかり関わるかは、いつ就職を意識するか、いつインターンに行くかなどで変わってきます。ただ、ロボコンをやっていた人は現場志向が強く、就職を選ぶ割合が高いかな、という印象はあります。たとえば「モータを実際に動かしたことがある」というだけでも、現場での強みが違います。そういった、実践的な経験を武器にして、企業へ就職していくというのは自然な流れだと思います。
私自身は、専攻科に進むことにしました。高専には残りますが、高専ロボコンに選手として出場できるのは、本科の学生までです。今後は本格的に、後輩を見守る側になりますね。

── 交流会の参加者に、特に期待することはありますか?

積極的に交流してほしいと思っています。今回はミニロボコンを開催せず、自由交流の時間を多く設けました。できるだけ他校の方へ積極的に話しかけ、たくさんの情報を得てほしいと思っています。
また、交流会だけに限らず、普段の部活動の中でも積極的なコミュニケーションをしてほしいと思っています。「先輩に言われたことに従う」だけではなく、自分から声を上げて手を動かす、その積み重ねが大事だと思っています。
そして、東海北陸全体で、参加校の技術力を押し上げてほしいですね。

── 現在、東海北陸地区のロボコンについてどのように考えていらっしゃいますか?

東海北陸地方にはとても多くの高専がある一方で、「ロボコン強豪校」の数は多くありません。正直なところ、平均的な技術力も、他の地域を追いかけているような状況だと感じています。「とりあえず動いた、どうにか点が取れた」ではなく、地区予選からの点取り合戦やVゴール獲得といった、パワフルな展開が出るような地区になったら嬉しいですね。今のようなオフシーズンにしっかり力をつけて、強豪校の多い近畿とちゃんと点を取り合えるようなレベルになっていけたらいいと思います。

 

まとめ

今回の東海北陸ロボコン交流会では、技術勉強会やブース展示、自由交流を通じて、参加者が学校の枠を越えて学び合う姿が見られた。共有されたのは開発技術だけでなく、チーム運営や設計の進め方、進路といった学生エンジニアに共通する悩みでもある。ロボコンをきっかけに実践知と人のつながりが積み重なり、新たな気づきが生まれる場となった。 今回の交流会は、参加者にとって“次の一歩”につながる貴重な機会となったはずだ。

 

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